早いもので、この道に入って20年余。フリーライターの三田村です。仕事をしている方の必需品といえば、名刺。今回はその名刺についてのTIPSを紹介したいと思います。
名刺交換をすると、私は次のように言われることがよくあります。
「あ、この文字は活版ですか?」
「ここに押してあるのは何ですか?」
その問いに、
「活版印刷なんです」
「名前の横に押しているのは、篆刻です」
「私の名前から一文字を取っているんですよ」
と答えると、そこからまた話が弾むこともたびたびです。初対面同士でなんとなく硬かった空気が和らぐことも珍しくない。そう、名刺が話のつなぎといいますか、アイスブレイクといいますか、思わぬ効果を発揮してくれるわけです。しょっぱなの空気が和らげば、その後の取材もやりやすい。活版印刷に篆刻、バンザイです。
活版印刷とは、鉛で出来た文字(活字)を一文字ずつ拾い、組み合わせた版で印刷すること。活字の出っ張っている部分にインクを付け、紙にインキを転写すると、圧がかかって、紙に押した文字には独特の凹凸がでるんですね。
この凹凸がなんともいえない味を醸し出す。風情、風雅、趣のあるたたずまい、といった大げさでしょうか。どこか懐かしさを感じて、ほっとするような気持ちになるのも活版印刷の特徴です。
私の場合、活版印刷の名刺に、さらに一手間を加えました。「蕗子」の「蕗」の文字を篆刻にしてもらい*、その篆刻を1枚1枚、名刺に押して仕上げています。手で押しているので、当たり前ですが、1枚1枚、微妙にできあがりが違います。篆刻の印がちょっと右に偏ったり、朱印が均等についていないために少しかすれた部分があったり。
でも、それはそれ。この不揃いさも「味」なのです。
「紙に1枚1枚、押しているんですよ」というと、ほとんどの場合、驚かれます。時間のムダと思っている人もいるかもしれませんが、それでも印象に残ることは確かでしょう。おそらく、活版印刷に篆刻をいちいち押して完成形にしている人って、あまり例がないはずです。活版印刷の凹凸と赤い篆刻の文字とともに、私の名前が記憶に刻まれるとしたらこんなにうれしいことはありません。
活版印刷+篆刻。ビジネスの場に有効です!
*篆刻は、気和心のロゴを書いていただいた玉煙堂の主である 江盦(こうあん)さんに彫っていただきました。玉煙堂では印のオーダーを受け付けています。素晴らしい仕上がりに私はいつも大満足。あなたもオリジナルの篆刻を作ってみてはいかがでしょう。
オトナのONとOFFに役立つTIPS
ちょっとしたアイデア、ちょっとした小物、ちょっとしたコツ次第で、ONもOFFもずっと楽しく快適に、自分らしく演出できる!そんなTIPSを紹介するコーナーです。紹介されているTIPSをあなたの生活の中に取り入れてみませんか?
*TIPSは英語で、こつ、ヒント、秘訣、助言、という主たる意味があります。
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